音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
フルート、ヴァイオリン&ピアノ トリオ コンセール
120621_QM42.jpgFLÛTE, VIOLON & PIANO
TRIO CONCERT
フルート、ヴァイオリン&ピアノ
トリオ コンセール

フルート 木村 麻衣子
Maiko KIMURA Flûte

ヴァイオリン 印田 千裕 
Chihiro INDA violon

ピアノ 本多 友子
Tomoko HONDA piano


(演奏者のホームページは名前をクリックください)

2012年6月21日(木) 19:00開演
19h00 Jeudi le 21 juin 2012杉並公会堂 小ホール

JR/メトロ 荻窪駅徒歩7分
Salle Récital Suginami Koukaidou
JR/Métro OGIKUBO

※曲目が一部変更になりました
  1曲目の 形態 [Fl, Vl. & Pf.] | 陳 銀淑 が 楽譜入手困難のため、
  かわって エリキサ [Fl, Vl. & Pf.] | 八村 義夫 を演奏いたします。
 

■エリキサ [Fl, Vl. & Pf.] | 八村 義夫
□Elixir op. 10-2 (1974)|Yoshio HACHIMURA (1938-85)
  for flute, violin and piano

■キス・オン・ウッド [Vl. & Pf.] | J.マクミラン
□Kiss on Wood (1994) | James McMillan (né en 1959)
  for Violin and Piano

■ペッツォ・ファンタジオーゾ [Vl. & Fl.] | 尹 伊桑
□Pezzo Fantasioso (1988) | Isan Yun (1917-1995)
  for Violin and Flute

■仏頂面(新作初演) [Fl. Vl. & Pf.] | 山本 哲也
□Sullen Face (Création) (2012) | Tetsuya YAMAMOTO (né en 1989)
  for Flute, Violin and Piano

■ピアノとフルートのためのソナチネ | P.ブーレーズ
□Sonatine (1946) | Pierre Boulez (né en 1925)
  for Flute and Piano, Op.1

■無字の経 [Vo. Fl. Vl. & Pf.] | H.ツェンダー
□Muji no Kyo (1975/88) | Hans Zender (né en 1936)
  for Voice, Flute, Violin and Piano
〔山形明朗 Akira YAMAGATA voice〕

入場料(全自由席)
一  般 \3000
学  生 \2000
児  童 \1000
〈パスリゾーム・会員 各500円引〉
未就学児 \ 100
カルチエミュジコ



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上記の演奏者の名前からページのリンクをご覧ください。
カルチエミュジコトリオコンセール曲目解説 QM42
八村義夫 『エリキサ』 (1974)
Yoshio HACHIMURA (1938 - 1985) : «Elixir» trio

エリキサとは「化金水」すなわち中世の錬金術において鉛を金に変える液体のこと。作曲者のノートによれば「鉛の状態にある作品が、演奏行為によって金に変わるという期待を暗示している」。各楽器に多くの特殊奏法を要求され、各奏者がそれらを駆使することによって、嗜虐的な一篇のコントが編み出されることが意図されている。曲は拍節構造を持たず、各奏者は見計らいの緊張状態の裡におかれる。初演は1974年1月31日「室内楽’70第4回演奏会」


ジェイムズ・マクミラン『キス・オン・ウッド』
James Macmillan (1959-) «Kiss on Wood» vl & pno

スコットランド生まれのジェイムズ・マクミランは、BBCスコットランドシンフォニー、ウェールズナショナルオペラ、ロンドン交響楽団、ロイヤルオペラハウスなど多くの委嘱作品を手がけ、ロストロポーヴィチがチェロコンチェルトを依頼したことでも知られています。教会音楽、スコットランドの伝統音楽の影響も見受けられ、宗教的作品も多く書かれています。
この『キス・オン・ウッド』はヴァイオリンとピアノの相乗効果が美しいネオ・ロマンティックな作品です。
作曲家の解説では「聖金曜日の短詩 "Behold the wood of the cross on which the saviour of the world was hung: come let us adore him" のパラフレーズがもとになっています。キリスト受難像の覆いが取られ、人々が前へ進み出てその木(十字架)に口づけするよう迎えられるときに、この詩が歌われます。このような信仰と深い関係を持つ音楽とそのタイトルですが、同時に、木製の楽器が生み出す音楽への愛を表現しています。


尹伊桑(イサン・ユン)『ペッツォ・ファンタジオーゾ』 (1988)
Isang Yun (1917-1995) «Pezzo Fantastico» fl & vl

ユンは第一次世界大戦の末期、日本の占領下の現在の韓国で生まれました。若い頃から政治活動に参加し、生涯政治活動家であり続けたユンは生涯で二度、最初は占領中の日本軍によって、二度目は1960年代に朴大統領の軍事独裁政権の秘密警察によって、投獄されました。死刑を求刑されましたが、カラヤンやストラヴィンスキーを中心とした国際的に活躍する音楽家達の抗議の結果、後に解放されました。
ヴァイオリンを習って旋律を作曲することをはじめたユンですが、父より音楽家になることは反対されていました。しかし、商業学校に進学すれば音楽を学んでもよいという許しを得て、1935年大阪にある商業学校に入学するとともに、大阪音楽学院でチェロ、作曲、音楽理論を習います。40歳になる頃、はじめてヨーロッパに渡り、パリののちにベルリンで学びますが、その頃までに、すでに韓国では作曲家としての確固たる地位を築いており、勲章も受けていました。ユンは「私は韓国で生まれ、韓国の文化をはっきりと提示していますが、音楽的にはヨーロッパで培ったものが多いのです。私は、異なる文化の要素を取りまとめたり、分別する必要を感じません。私はひとりのシンプルな人間です。それが統合ということです。」と述べています。
この『ペッツォ・ファンタジオーゾ』は2つの楽器(と任意でバス声部)のために作曲されました。


山本哲也『仏頂面』(2012 新作初演)
Tetsuya YAMAMOTO (1989-) Sullen Face trio
「仏頂面」は不機嫌にふくれた顔つきなどを意味するが、ここではタイトルと音楽の内容が直接リンクされている訳ではない。この作品では特定の何かを表現するのではなく、音の連なりそのものに重点を置いている。
全体的にピアノまたはピアニッシモによる弱奏が大半で、その中からどの音色が浮かび上がってくるかがテーマとなっている。それは、どの楽器にフォーカスを当てて聴くかによって変わるかもしれないし、実際の物理的な強弱によっても変わるかもしれない。
フルートとヴァイオリンは特殊奏法なども交ぜながら多様な音色を扱い、一方ピアノは特殊奏法を使わず、中央ドよりも高い音域に制限して硬質な音色を指向した。曲全体の中心にピアノの低音域を伴うフォルティッシモによる強奏を配置し、それを境に音楽は逆行してゆく。


ブーレーズ 『ソナチネ』(1941)
Pierre Boulez (1925-) «Sonatine» fl & pno

パリ高等音楽院終了間際、ブーレーズが21歳の時に書かれた作品。爆発的なエネルギー、鋭いリズムと振り幅の大きいテンポのコントラストが第一音から途切れることの無い緊張感を生み出している。シューンベルグの室内交響曲作品9の影響を強く受けており、単一楽章でありながら古典的交響曲の形式のアレグロ、レント、スケルツオ、フィナーレの4部で構成されている。超絶技巧の裏に隠された、かぎりなくウィットに富んだテーマのメタモルフォーゼと、音色、強弱のアーティキュレーション、響き等全てを酷使した妥協のない構成。20世紀に生まれたフルート作品の中でも異色の名作である。


ツェンダー『無字の経』(1975/88)
Hans Zender (1936- ) «Muji no kyo» trio & voice

ドイツ、ヴィースバーデン出身で、指揮者及び作曲家として活動するツェンダーの代表作。60年代後半から広まった複合的な和声記述、音響の拡大、極限まで拡張されたフレージング、 ミクロ音程の酷使等の風潮に逆いながらも、使い古された技法を排除して、徹底的なシンプルさを追求して書かれた作品。経の構成に沿って、8つのパートに分かれた2部構成。経のシラバスの通りに母音や子音の組み合わせがそのまま活かされていることで日本的「間」や無の空間が表現されている。

無字の経
咲く花の 露のみずけさ
泣く鳥の 声のさやけさ
雲閉に 水藍をたたふ
ただ説きい 無字の真言

山清く そめなす木立
谷深く たまちる流れ
風そよぎ 声すみわたる
ひとりよむ 無字の真言