音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
ヴァイオリン、チェロ & ピアノ トリオ・コンセール
/140410_QM46_suisse.jpgQUARTIERS MUSICAUX
カルチエミュジコ
ヴァイオリン、チェロ & ピアノ
トリオ コンセール
VIOLON, VIOLONCELLE & PIANO
TRIO CONCERT


2014 年5月10日( 土) 19h00開演
19h00 Samedi 10 mai 2014



杉並公会堂小ホール
(JR/メトロ 荻窪駅)
Suginami Koukaido Salle Récital
JR/Metro Ogikubo
アクセス

ヴァイオリン 印田 千裕 
 Chihiro INDA violon
チェロ 津留崎 直紀 
 Naoki TSURUSAKI violoncelle
ピアノ 新垣 隆
 Takashi NIIGAKI piano



■トリオ へ短調 ヴァイオリン、チェロとピアノのための|A.オネゲル
□TRIO en Fa MIneur (1914)|Arthur HONEGGER (1892-1955)
 pour violon, violoncelle et piano

■無限への転移 |K.フーバー
『チェロのためのポール・ザッハーへの12のオマージュ』より
□Transpositio ad infinitum (1976) |Klaus HUBER (né en 1924)
 «12 hommage à Paul Sacher pour violoncelle»

■デュオ ヴァイオリンとチェロのための |H.ホリガー
□DUO (1982) |Heinz HOLLIGER (né en 1939)
 für Violine und Violoncello

■ソリ ヴァイオリンのための より
□SOLI für Violine ( 2001) , extrait

■無言歌 第2集 ヴァイオリンとピアノのための7作品 より
□Lieder ohne Wort heft II (1987-94) , extrait
  7 Stücke für Violine und Klavier

                * * *
■ピアノトリオ |D.シュニーダー
□KLAVIERTRIO (2000)  |Daniel SCHNYDER (né en 1961)

bis
■小組曲 2楽器とピアノのための |A.オネゲル
□PETITTE SUITE (1914) |Arthur HONEGGER
 pour deux instruments et piano


ダニエル・シュニーダー『ピアノトリオ』リハーサル風景

チケット
〈全席自由〉
一般 \3000
学生 \2000
児童 \1000
パスリゾーム・会員 
各\500引
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プログラムノート(曲目解説


プログラミング協力 
リラ・アンサンブル、ローザンヌ / Ensemble Lyra
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トリオコンセール プログラムノート
スイスはフランスからつづくジュラ山脈をのぞいても、国土の半分以上をアルプスの山岳地帯がしめる。そのなかで、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏のほかにロマンシュ語圏に分けられるが、今回演奏される作曲家たちは、ドイツ語圏の出身である。

■フランス六人組のひとりとして知られるアルテュール・オネゲルは、チューリッヒ出身の両親の元にル・アーブルで生まれ、教会のオルガニストを経て、1909年から2年間チューリッヒ音楽院で、その後1911年よりパリ音楽院で学び、その準備時代を通じてドイツ音楽とフランス音楽の二重の文化を吸収した。
■その若き時代の1914年に作曲された『トリオ へ短調』は、彼の音楽を興味深く好ましいものにしているロマンチシズムとモダニスムの間の衝突を示している。この短い作品のなかで、耳障りというよりもむしろ怒りにかられた主題を、興味深いドラマの音楽的な創造によって統合している。単楽章のソナタ形式の作品で、ほとんど欠落したかのような主題の再現部の構成が独特である。ほかの楽章は失われた可能性もある。
■最後に演奏される『小組曲』は、1934年にオネゲルの妹の子供たちのために書かれた、2つの旋律楽器とピアノのための作品で、3つの小品からなる。それぞれの曲に速度・表情記号はなく、ユニークで気楽なミニアチュア作品である。今回は一曲目はヴァイオリンとピアノ、2曲目はヴァイオリンとチェロ、3曲目はトリオで演奏される。

クラウス・フーバーによる『無限への転移』は、1976年にP・ザッハーの70歳の誕生日のために、W・ロストロポーヴィッチが12人の作曲家に無伴奏チェロのために委嘱したうちの1曲。ただし、この曲を委嘱者は全曲演奏をしていない。フーバーは「1970年代の中頃より興味をもっていた〈構成的意味論〉からソフィスティケートされ潜在的過敏さを添えた、スパイラル転位のメトッドをもちいた。無限へと連鎖する主題にもとづいて、ザッハーの名前から引き出される6音(Es, A, C, H, E, Re)を掛けあわせて増幅するというプロセスを見いだした」。可能な限り速くという8つの部分に同じテンポが設定されるので、演奏者は、もっとも速くて難しいパートを視野に入れて、テンポを自由に選ぶこことになる。それらのコントラストを保ちながら、アルコ、コルレーニョ、ピッチカート、ポンチチェッロ、ピアニッシシモからフォルテッシモまでの演奏モードによって、楽器のあらゆる音響的可能性をほぼ網羅している。さらにパウルの文字からはじまるP(表現的なピアノ)/A(自然倍音)/U(下降倍音)/L(レント、さらに表現的な)のテンポの遅い2種類の4つの間奏曲が書かれ、以下の通り組み合わされて演奏される。 
Ⅰ - P - Ⅱ - A1 - Ⅲ - A - Ⅳ - Ⅴ - U - Ⅵ - U1 - Ⅶ - L - Ⅷ

■スイスのベルン州のランゲンタル生まれのハインツ・ホリガーは、子供の頃からオーボエを習い、10代終わりから、ひきつづき、パリで研鑽をつむとともに、ジュネーヴとミュンヘンのコンクールで一等賞を獲得して、音楽家としての道を歩みはじめた。この頃からH・ヘンツェ、K・ペンデレツキ、G・リゲティ、E・カーター、W・ルトスワフスキー、K・シュトックハウゼン、L・ベリオなど当時の作曲界の錚々たる大家たちがかれのために新作を書くようになり、またたく間にオーボイストとしての確固たる地位を獲得した。また、演奏家としてバロック作品の録音とともに、18世紀の埋もれた作品を取り上げている。61年よりバーゼルの音楽アカデミーにおいて、P・ブーレーズのもとで作曲をはじめており、オーボエ作品のみならず、オーケストラ曲とともに、長年にわたるヘルダーリンの最後の詩集に書かれたさまざまな楽器のためのあわせて2時間半にわたる『サイクル』(75-85)のほか、さまざまなテクストのための声楽作品を書いている。オペラ作品としては1998年にR・ワルザーのテクストによる『白雪姫』を書き、それ以前にはS・ベケットの短いテクストにも曲をつけている。
■室内楽作品もはやくから書いており、ヴァイオリンとチェロのための『デュオ』(1982年)はふたつの部分からなる。冒頭のチェロのフォルティッシモのピッチカートとヴァイオリンのピアニッシシモのアルコの対比が拍子ごとに入れ替わりながら繰り返されたのちに、両楽器によるべつべつの32分音符のフレーズがあらわれる。テンポルバートののちそれぞれ自由なフレーズを奏でながら強奏で終わる。小節線はない。ふたつめは、冒頭から終始一貫した16分の7拍子の16部音符がべつべつのフレーズで奏でられる。途中拍子が入れ替わったのち最後は同時に強奏が限界にまでたっして終了する。
■F・メンゼルスゾーンのピアノ曲集と同じタイトルのヴァイオリンとピアノのための『無言歌 第2集』は、1983-84年に作曲された第1集に続いて、1985年から95年の長年にかけてさまざまな機会に書かれた。それぞれの曲は近しい人に捧げられている。2つの間奏曲を含む叙情的ともいえる作品で、あいだに挟まれた作品は並べ替えて演奏することができ、さらに第1集の4曲とも組み合わせられる。今回は全7曲のうち4曲を、2-5-4-7の順で演奏することになる。
■今回演奏されるなかではもっともあたらしいヴァイオリンのための『ソリ』も、全6曲のなかから、4曲が演奏される。2000-01年のヨーロッパ室内管弦楽団のためのコンチェルトを分節して、ヴィオラ、チェロ(またはバスーン)オーボエ、トロンボーン、ホルン、ティンパニのためのソロとともに、このヴァイオリンのための6曲が書かれ、オーケストラプレイヤーのためにささげられた。コンチェルトでは指揮者は演奏中、組み合わせと順番を指示するか、または別個に独奏曲として、順番も自由に演奏することが可能である。

■チューリッヒ生まれのダニエル・シュニーダーは、サクソフォーン奏者として、クラシック音楽のみならず、ジャズやワールド音楽の分野でもNYでグループを結成して活躍する一方、自作のソリストとしてオーケストラとの競演もおおい。この『ピアノトリオ』では「現在」をとらえることと、音楽の多様性を書きたいと考えた。第1楽章ではふたつのレイヤーが重層している。ピアノがラテンアメリカ風「轍(わだち)」を刻むなかで、ヴァイオリンとチェロは古典派的・ロマン派的ピアノトリオのジェスチュアを参照する。この強烈なモーションは、声部間の偶発的調和によって増長される。晴朗な性格が二次的具体性をともなって重層しながら、動学的エネルギーの相互作用により、徐々に展開していく。第2楽章は多韻律なコンセプトをベースとし、4つの導入部分にひきつづき、同じメロディ要素が3楽器で3テンポで演奏される測量法的カノンで響くテーマが追随し、やがて分節化・重層化される。ヴァイオリンは4分の5拍子、チェロは4分の6拍子、ピアノの左手は4分の7拍子で演奏される。これらの声部のレイヤーは、ただよう感覚をもたらし、音楽的瞑想にみちびく。同時的複数テンポは、不荷重状態を創出し、引力地場の消滅を発生させながら一種の音楽的浮遊を実現させる。この現象は、古楽の声楽曲あるいはミニマル音楽を想起させる。スケルツォの第3楽章は、段階的に上昇する2声と下降する他の2声による反転的カノンのスパイラルである。複雑で厳格な構成的フレームにもかかわらず、とても演奏効果にみちた楽章である。「ファンクなテンポ」の第4楽章はビートのまさった処理がされている。嬰9度や13度などのブルースといったジャズ要素をとりいれたバルトーク的混交のハーモニーである。ファンクな部分は、とても速く演奏され、循環するユニゾンのヴィルトゥオーソ的部分が繰り返される。「ポルトリュディウム(後奏曲)」の第5楽章では、変拍子の詠唱にひきつづき速いトッカータがテンポルバートをはさみながら繰り返され、グリッサンドの終曲に向かう。