音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
QM 2009年11月22日 コンセールモノローグ曲目解説
三善晃『ヴァイオリンのための鏡』
1933年生まれの三善晃は、合唱曲をはじめとして、さまざまな編成の多くの作品がある。1984年に書かれたヴァイオリンのための『鏡』は全体は短い5つの部分に分けることができるが、通して演奏される。曲はニュアンスの少ないなかで静かに始まるが、テンポをあげるとともに、つぎの複雑なリズムで激しい動きの部分に移行する。やがて静かになり、印象的な「シ」の音でつぎにつながる。できるだけ速いテンポで強い音を演奏するように指示されたカデンツァ風のパッセージ。もっともながいつぎの部分は静かに始まり、次第に激しい高揚に至ったのちに静かに閉じる。最後は、冒頭を回顧するような静けさが戻り、曲の最初の小節へと逆に進行して、全体を閉じる。

アンドレ・ジョリヴェ『狂想曲風組曲』
エドガー・ヴァレーズに触発されて作曲活動を開始したアンドレ・ジョリヴェの、晩年になって書かれた独走楽器のための作品のひとつである、『狂想曲風組曲』では、作曲者がこだわる5曲からなる。最初のアラブ風民族音楽の色彩の濃い「前奏曲」に続いて、つづく静かでゆったりとした「アリア」には小節線は数本しかなく、低弦をつかった高い音のポジションでの演奏が指示され、旋律を奏でる。終盤にはさらにテンポが緩んで曲を閉じる。「間奏曲」では「ラ」の弦が四分の一音高く調弦されて、この開放弦で演奏される「ラ」のみ微分音となる。全体に弱音器をつけて駒の近くで演奏され、中間部は日本の民謡を彷彿とさせられる。つづく「アリア2」も弱音器がつけられたまま演奏され、グリッサンドが特徴的な短い対比的なアリア。歌とかけ声による踊りの終曲によって全体を閉じる。全体を通じて小節線が少なく、表題通りのラプソディー(狂詩曲)の色彩が支配している。

パスカル・デュサパンの『イチ』
パスカル・デュサパンの『イチ』は、1980年代に多く書かれた器楽独奏のための作品のひとつで、ほかの作品同様、アルファベット「I」ではじまるタイトルをもっいる。メロディを描く揺れ動く一本のラインが美しい。小節線はなく、それぞれの拍は細かいリズムに分割され、短い移行のなかで急激に変化する細かいニュアンス記号が記されている。指定箇所以外ではヴィブラートをかけずに演奏する。それによって多く使用されている微分音の音程の差も、効果を表す。

フィンチ『こわがり』
モロッコのカサブランカ音楽院教授であった両親のもとに生まれたG・フィンチは、生地でピアノをはじめたのちパリ音楽院で学ぶ。1990年に書かれたこの『こわがり』は、嬰へから嬰ハの五度音程のなかの、ロ・変ロの音を除いた6音を基に曲が成り立っている。不安げに始まるモチーフが繰り返され、あるときは緩みながらも最後にその恐怖心は頂点に達する。

サーリアホ『ノクチュルヌ』
フィンランド出身のサーリアホは、シベリウス・アカデミーで作曲を学んだ後、1982年に、パリにイルカムでの研究をきっかけとして、パリに在住している。それ以降の彼女の仕事は、スペクトル派のなかにあり、「響きの軸」「響きのなかのよいざらざらとしたテクスチュアが不協和音のなかで協和音と同等に扱われている」ことが特徴であるとされる。この『ノクチュルヌ』は、ポーランドの作曲家ルトスラフスキィーにオマージュを捧げるために、アヴァンティ室内アンサンブルから委嘱によって、1964年にヴァイオリン協奏曲とともに書かれ、同年ヘルシンキで初演された。曲は、解放弦のラから静かに始まり、中間に細かい音符の動きのある部分をはさみ、静かに終結する悲哀に満ちた作品。フラジオレット(倍音)の効果が特徴。実音とフラジオレットのトリルが多く用いられている。

ピエール・ブーレーズ『アンテーム1』
1925年生まれのピエール・ブーレーズの『固定された爆発』の最初のヴァージョンがもととなって、ヴァイオリン・ソロにふさわしい音楽テクステュアをもったものに変更・増殖された作品。曲はいくつかの部分に分かれ、テンポの速い部分と遅い部分の対比がきわ立っている。コントラストの強いダイナミーク、弓の位置指定などの奏法が細かく記載されている。小節ごとに拍子がかわり、そのなかでの速いテンポでの連続の重音ピッツィカート、トリルをかけながら同時に他声部でメロディを演奏するなど、ヴィルチュオーゾ的要素の多い作品。なお、この作品をもとに、コンピュータ音響にリンクさせて、演奏を増幅・変形させる『アンテーム2』がある。

あとジョン・ケージ
曲名は当日発表
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