音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
丹波明ビオ 〈カルチエドトンヌ2011〉
丹波 明
Akira TAMBA

tamba photo

■1932年横浜生まれの丹波明は、横浜英和小学校、旧制神奈川県立横浜第一中学校(現・神奈川県立希望ヶ丘高等学校)から東京藝術大学に進み、1960年にフランス政府給費留学生として、パリ高等音楽院で、オリヴィエ・メシアン、トニー・オーバンに師事。作曲で一等賞、楽曲分析で二等賞、リリー・ブーランジェ賞、ディヴォンヌ・レ・バン作曲賞を受賞。64-67年フランス国立放送研究所にてミュジーク・コンクレートの研究。1968年にフランス国立科学研究所哲学科(CNRS)に入り、1998年から主任研究員をつとめた。

■1971年「能音楽の構造」によってソルボンヌ大学より音楽博士号、84年『日本音楽理論とその美学』により同大学よりフランス国家博士号を授与される。日本では『創意と創造』『序破急という美学』(ともに音楽之友社)が出版されている。

■70年以降、多くの音楽祭で作品を発表。とくに79年フランス国立放送により「丹波明の一日」が放送され、同年オランダ現代音楽祭で10作品が演奏された。主要作品としては、フルート・ソナタ、ピアノとオーケストラのための『曼荼羅』、チェロ協奏曲『オリオン』、邦楽器のための『アンテルフェランス』の8曲のシリーズなどがある。

■能音楽の研究をはじめたのは、インドのリズム原則を帰納化して西洋音楽にとりいれたオリヴィエ・メシアンの啓発によるものである。日本の伝統文化への深い造詣とそれらを背景とした独自の芸術観が、現代作曲家としてのアイデンティティーをきわだたせ、安易な感覚主義や浅薄な異国趣味とはまったく無縁の世界を築いている。

■丹波明は、20世紀音楽における十二音音楽の閉塞感のなかで、平均律のみならず、音素材に内在する変容した時間がリズムとなって、縦の線の制御から完全に解放されたミュージック・コンクレート、さらには、非決定音楽の細胞組織をもつ能音楽から導き出された、精神生理学的要素に基づいて、速度・密度・強度が漸進的に増加する時間構造を、「序破急」理論に昇華し、21世紀の世界の音楽潮流にも開きうる普遍性をもつ美学原則を提案している。

■今回のプログラムは、ドビュッシー晩年のソナタを継承する様式として書かれた『ソナタ』(1961)、序破急理論の確立を模索した『タタター』(1968)、『エレマンタル』シリーズの4番(1984)、最新作である『テトラクロニ』(2008)を作曲年代順に取り上げ、丹波明の半世紀の軌跡としてその美学・理論を俯瞰するものとなる。


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