音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
グラシアーヌ・フィンズィの曲目〈カルチエデテ2011〉
グラシアーヌ・フィンズィの曲目解説

そしてすべてがふたたびはじまると…
ヴァイオリンとピアノのための(2003)
初演2003年11月ラジオ・フランス 
演奏シャルロット・ボヌトン(vl) フランソワ・デュモン(pno)

グラシアーヌのほかの作品と同様、このデュオは、人の人生とそこにおける感情に直接的に根ざしたコミュニケーションへの企図と呼応している。タイトルは雄弁さへ導かれた自発的な鸚鵡返しのように作曲後に名付けられた。作品のガイド役であるつぎつぎと現れる音響的サイン(グリッサンド、沈黙、減速など)が、標柱となり、書き記された即興性として構成の堅固さを形づくっている。静謐でミステリアスな第1楽章は、ピアノの最低音の問いかけるようなペダルに導かれて、作品共通のハーモニーが姿をあらわす。ヴァイオリンはリズミカルな持続音とともに突如として目覚め、つづいてピアノが息切れするまでにオスティナートを維持するなかで、ソスティヌートのメロディへと飛翔する。空想的で緊張感のある第2楽章は、シャコンヌのエスプリをもった主題と5つの変奏からなる。ヴァイオリンは、ソロあるいはデュオで、半音階下降したあと、次第にヴィルトゥオーゾ的・幻想的様相をおびながら嘆きを展開する。2つの楽章は、短3度・短2度・非対象リズム・トリルなどが寄せ集められて、メランコリックであり、また不安な共通の性格で結びついている。(ビヨド出版社)


ディアローグ
クラリネットとピアノのための(1998)
初演

クラリネットとピアノのための(1998)
タイトルが示すように、この作品は2人の奏者のあいだのさまざまな対話であり思考の相互作用である。しかしながらクラリネットは、このなかで取り上げられた言語要素を繰返し、最後に最初のモチーフを1オクターヴ上で再現する。より深い表現のなかで展開したのちの最終的結論として、クラリネットの雑然さのなかで、ピアノが低音部を使ってリズムを区切って演奏し、この時点におけるふたりの演奏家の最終点を指し示す低音の嬰トの音で両者が終結する。(ビヨド出版社)


人生はこのように過ぎゆく
ヴィオラのための(1991)
初演1992年12月14日ラジオフランス
演奏ピエール・ルネール

最初に演奏されるデュオとともに、人の人生への思いを連想させられるタイトルをもっているが、けっして描写的な内容となるわけではなく、そのことにもとづいて書かれたものでもない。解説には以下のようにのみ、書かれている。人生はこのように。このように。永遠の再出発と進行。そして次には。次にはなにもない。そして、それは再びはじまり、つねにはじまる。(デュラン出版社)


トリオ
ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための
初演1975年10月16日リヨン・フェスティヴァル
演奏トリオ・リヨン

このピアノトリオは以下の5つの部分からなっている。第1部では、ひとつの共通した要素が、3楽器に分け与えられ、このフレーズで用いられているさまざまな音響的手法によって音が生成される。ピッチカート、ヴィヴラートしたピッチカート、ピッチカート付アルコ・ピッチカートなしアルコなど、同一音のさまざまなアタックが展開する。第2部では異なるテンポによる3つの楽器が並置されている。第3部ではさまざまな様相のもった要素が並置され、それぞれの楽器は、ほかの楽器とは独立した固有の「人生」をもっている。いくつかの音響的雰囲気の探求とそれぞれの楽器相互の繋がりが求められる第4部。第5部は、このトリオの最後にワルツを聴きたいというだけの望みのみによって書かれた舞曲で締めくくられる。
 →サンプル音源



遮られる時どき
ヴァイオリンとヴィオラのための
クラブペニッシュ・カルチエミュジコ委嘱
初演2011年6月19日
演奏中澤沙央里(vl) 民谷可奈子(vla)

「とても知り合いたかった羽室ゆりえに献呈」されているクラブ・ペニッシュとカルチエミュジコの今回の委嘱作品。この作品を構成している遮られる6つの楽章は、主題のない変奏曲である。ここで生み出されている人の感情のようなハーモニーは、この作品全体にわたって心につきまとって離れないモチーフとして次から次へと循環し、それらは外部からの出来事、哀しい会話、緊張し、穏やかなあるいは高揚した会話によって遮られる人生の瞬間瞬間を描いている。ヴァイオリンとヴィオラは、さまざまな感情を表現する人の声のイントネーションたりようとして、さまざまな奏法を駆使する。(ビヨド出版社)


9分30秒
バスクラリネットとチェロのための(1994)
パリ国立音楽院委嘱
初演1995年3月23日サセム
演奏アラン・ムニエ (clB) パスカル・プチオ (pno)

バスクラリネットとチェロというかわったふたつの楽器は、見い出しあったり、遠ざけ合ったり、再発見したり、見失ったり、会話したりしながら、お互いの楽しい組み合わせの賜物を生み出している。低音部を受けもつ2楽器の音響的な結びつきは、このデュオ作品の生成にとって非常に重要な要素のひとつである。クラリネットの手打ちに結びついたチェロのバルトーク・ピッチカート、管楽器の息づかいに対するチェロのシュル・ポンチェッロなどなどが効果的に用いられている。


印象・タンゴ
ヴァイオリンとピアノのための(2003)
初演2003年7月31日フェスティヴァル・サン・ロベール
演奏マリアーヌ・ピクティ(vl) ジャン=リュック・マンカ(accrd)

グラシアーヌは、これまでにもずっとタンゴに対する情熱をもち続けていたが、このデュオは、まずヴァイオリンとアコーディオンのための作品を依頼されて書かれた。しかし、タンゴのために曲を書くことは、クラシック音楽の作曲家には容易いことではない。作曲家は、緊張と緩和の繰り返される交替がタンゴの特徴であると見なして、この大好きな音楽に情熱的におおくの時間をさいた。今回演奏されるヴァイオリンとピアノのほか、ヴィオラあるいはチェロとピアノのヴァージョンもある。(ビヨド出版社)
 →サンプル音源


フリー・カルテット
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための(1984)
ラロシェル・フェスティヴァル委嘱
初演1984年6月24日 ラロシェル・フェスティヴァル
演奏イヴァルディ四重奏団

この作品では、なによりもまず、グラシアーヌのそれまでの音楽言語のすべての総体から生み出されるさまざまなリズムによって進行する世界を表現しているリズムが並置されている。ここでのエクリチュール手法は、なによりも器楽操作法から自由になったものあり、さまざまな拠点として、強制的出会いのなかで、ジャズ音楽をかたちづくるというアイディアによって、それぞれのソロパートが引き出されている。(ビヨド出版社)
 →サンプル音源
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