音楽をもっと身近なものにするために、ヴァイオリンを中心にさまざまな楽器編成で、演奏機会の少ない現代・近代の作品を取り上げて、室内楽コンサートを行っています。初めて聴く音楽に耳を澄ます楽しみを味わってください。
C-M・シニュベールのプロジェクトとプロフィール
Claire-Mélanie SINNHUBER 
クレール=メラニー・シニュベール

プロジェクト
ヴィラ九条山での私のプロジェクトは、世界中のほぼすべての伝統音楽に
定着している技法である《ヘテロフォニー》に立脚している。

雅楽で用いられる龍笛(りゅうてき)や篳篥(ひちりき)、さらには能楽の
「地謡」は、ほとんど同じ旋律を演奏/歌唱している。私にとっては、こ
うした音楽の美しさは、個々の相違点の間の隔たり(intervalle)にこそ
ある。私が日本で書くことになる作品は、二重性、ヘテロフォニーや「分
割された同じもの(même divisé)」という詩的概念を巡る仕事が出発点
となる。この概念は、大編成オーケストラのために現在執筆中で、*2008
年9月に東京のサントリーホールで初演される予定の作品でも既に中心に
据えられている。(*註:2008年8月に行われた)

《In Between》は、 まったく同じか類似した2つの楽器(あるいは声)
のために書かれる作品で、今のところ2台の擦弦楽器を考えてはいるが、
楽器編成の最終的な選択は、仕事を進め、日本の音楽家と出会う過程で変
わるかも知れない。最大の特徴は、2台の楽器が、ほぼユニゾンでありな
がらも、《分割された》空間で演奏されることにある。《同じもの》の反
復が、単に空間的だけでなく、時間的なスケールで表現されることになる。
演奏者たちは、大きく、鮮明で、構成された物理的空間によって隔てられ
る。この空間は、垂直ではなく、傾斜した線を描くこととなる。

三重の分割が行われることとなる。自然で空間的な分割は、パフォーマン
スの場と同時に私たちの知覚機能(左右、前後、上下)を明らかにしてく
れる。人間的な面での分割(2つの身体、2つの楽器)は、あり得ない融
合、《異なっていること》や《2つであること》の豊かさを明らかにして
くれる。そして作曲上の分割がある。作品のエクリチュールは、ホモフォ
ニー、ヘテロフォニーとポリフォニーの間の緩やかな変化を描き出し、可
聴域の限界が好んで用いられることになる。
(VILLA KUJOYAMA より)


略 歴
クレール=メラニー・シニュベールはフルートを
学ぶことで音楽を始めた。(ダヴレイ市国立音楽学校で金賞、パトリス・
ボギヨンに師事)。パリ国立音楽院(CNSMDP)では、S・オルテガ、A
・ゴーサン、I・フェデーレやF・デュリユーの作曲クラスを受講。在学中
に一等賞を受賞(2006年度フランシス&ミカ・サラベール財団賞)。

2004年から2005年にかけては、フランス国の音響音楽研究所(IRCAM)
で、キュルシュス(研究員として)作曲とニューテクノロジーを学び、
Ph・ルルーと仕事をする。この経験は、シニュベールの音楽において、
エレクトロニクスが占める位置を確かなものにする。

学業を通じて、フランスの音楽著作権団体《SACEM》から定期的な支援を
受けるほか、ナディア&リリー・ブーランジェ財団とメイエール財団から
奨学金を受ける。

2004年には、ロワイヨモン現代音楽セミナー《Voix Nouvelles(新しき声)》
の作曲クラスを受講。

これに伴い、2005年から2006年にかけて、ロワイヨモンの芸術交流ワー
クショップ《Grand Atelier》と国立現代アートスタジオ「ル・フレノワ」
でのレジデンスにも参加。ル・フレノワでは、ビデオ作家エミリー・オーセ
ルとのコラボレーションにより、マルチスクリーンと3人のソプラノとエレ
クトロニクスのための作品《Blade Affection》を創作する。

他の芸術ジャンルとのコラボレーションも多く、ダンス(ローランス・マ
ルトゥーレ)や映画(マルク・プティジャン)などがある。

彼女の音楽作品はフランス国内外で演奏されており、例えばIRCAM、スト
ラスブール国際現代音楽祭《Musica》、ニース音楽祭《Manca》、ロワイ
ヨモン修道院、シュツットガルト歌劇場の実験施設《Forum Neues Musik-
theater》、ベルリン現代音楽祭《MaerzMusik》、ブリュッセル国際音楽
祭《Ars Musica》などで取り上げられた。

一緒に仕事をしているアンサンブルとしては、アンサンブル・アレフ、ヌ
ーヴェル・アンサンブル・モデルヌ、アクロシュ・ノート、エラスティッ
ク3、ランスタン・ドネ、ミュルティラテラル、コントルシャン、アンサ
ンブルXXIなどがある。

進行中のプロジェクトも数多い。

アンサンブルXXIからは、2007年のディジョン現代音楽祭《Why Note》の
ために電子弦楽三重奏曲の依頼。

ジュネーブの国際パーカッション・センター(CIP)からは、2008年2月に向
けてアンサンブル曲の依頼。

また、大編成オーケストラのための作品を書くことになっており、ステファ
ノ・ジェルヴァゾーニの招きにより、2008年に東京のサントリーホールで
初演されることになっている。

コルマールの音楽フェスティヴァル《Musicales》からは、2009年上演のた
め、『不思議の国のアリス』を巡る室内楽オペラの依頼。これはコルマール
少年聖歌隊とオペラ研修施設《Jeunes voix du Rhin(ラインの若き声)》と
のコラボレーションとなる。

2007年6月にはSACEMからジョルジュ・エネスコ作曲賞を授与される。

(VILLA KUJOYAMA より)


サマーフェスティヴァル2008(サントリー音楽財団)の批評

ジェルヴァゾーニが推奨する若手作曲家シニュベール
『クロニーク(消息)』(世界初演)は、高い音域でのパルス的なリズ
ムのなか、転がるような上昇音形、吐息のような下降音形、足踏みする
ような反復音形が不規則に交互に起こる。厚みを帯びない薄い音が動こ
うとする気配に耳が引かれる。
(楢崎洋子 毎日新聞2008年9月8日記事より抜粋)

公演情報:2008年8月29日(金)19時
サマーフェスティヴァル2008 
サントリーホール国際作曲家委嘱シリーズNo.32
テーマ作曲家<ステファーノ・ジェルヴァゾーニ>管弦楽
クレール=メラニー・シニュベール:クロニーク[消息] (2008)
Claire-Mélanie SINNHUBER : Chroniques
フランス政府委嘱作初演



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